※いずれも2025年11月16日現在
シチズン時計(7762)は、腕時計で世界的ブランドを持つ日本の代表的メーカー。
ただ「時計メーカー」という枠に留まらず、
精密部品・電子機器・工作機械など多角的な事業を展開する総合精密機器メーカーでもあります。
時計のイメージが先行しますが、実は「技術の塊」のような企業です。
■ どんな会社なのか?
シチズンの強みは次の3点に集約されます:
① 世界で評価される時計ブランド力
シチズン時計のブランド力は、「技術力」と「実用性」を両立してきた長年の実績によって支えられています。光で動くエコ・ドライブに代表される独自技術は、電池交換不要という利便性と環境配慮を両立し、世界中で高い評価を受けています。高級時計から日常使いのモデルまで幅広い価格帯を展開し、誰にとっても身近なブランドである点も強みです。また、海外売上比率が高く、特に北米や欧州では「信頼できる日本製時計」として確固たる地位を築いています。派手さよりも品質を重視する姿勢が、長期にわたるブランド価値を形成しています。
② 精密技術を応用した多角化
シチズンは時計以外にも以下の事業を持っています:
- スマホ向け小型部品
- 車載部品
- 医療向け精密部品
- 機械式工作機械(シチズンマシナリー)
■ スマホ向け小型部品
スマートフォン向け小型部品は、シチズングループの精密加工技術が最も活きる分野の一つです。カメラ部品や内部の金属パーツなど、極めて高い精度が求められる部品を量産できる点が強みです。スマホの高機能化・薄型化が進む中、微細加工技術の重要性は増しており、安定した需要が見込まれています。
■ 車載部品
車載部品分野では、エンジンや駆動系、電装系に使われる精密部品を供給しています。自動車部品は高い安全性と耐久性が求められ、長期にわたる品質安定が不可欠です。EV化が進む中でも、精密金属部品の需要は継続しており、同社の加工技術が活かされています。
■ 医療向け精密部品
医療機器向けの精密部品では、手術器具や診断装置に使われる高精度パーツを製造しています。人体に関わる分野のため、厳格な品質管理が求められますが、長年培った技術力により高い信頼を獲得しています。医療需要は景気に左右されにくく、安定した成長が期待される分野です。
工作機械は世界トップシェアを持ち、
こちらが業績を大きく支える柱の一つになっています。
③ 財務の健全性
自己資本比率は高く、安定した経営基盤を持つ企業です。
■ 配当と株主還元
配当利回りは 3〜4%台 と安定しており、
利益に応じて増配する「利益連動型」の株主還元を行っています。
時計事業の波を多角化で吸収できるため、
全体として収益は比較的安定する傾向があります。
■ 今後の展望
✔ 世界的な“腕時計の高級化・趣味化”の追い風
✔ 工作機械(特に自動車・医療向け)の需要拡大
✔ スマホ・車載向けの小型精密部品の伸び
「時計の会社」と思われがちですが、
実は精密技術を武器に幅広い分野で戦える企業であり、
今後も長期的な成長が期待できます。


