アメリカは高配当株が多いって本当?
――“株主を大切にする文化”が育てた安定の仕組み――
投資の世界ではよく「アメリカ株は高配当株が多い」と言われます。
実際、日本株と比べて、配当利回りが高く、しかも毎年のように増配を続ける企業がたくさんあります。
なぜアメリカ企業は、そんなに安定して株主にお金を還元できるのでしょうか?
その理由をわかりやすく見ていきましょう。
■ 1. 「株主のために経営する」という文化
アメリカでは、株主こそが企業の“最も重要な存在”という考えが根づいています。
会社は「株主の資産を増やすためにある」という意識が強く、利益が出たら積極的に配当を支払うのが当然とされているのです。
一方、日本では「従業員や取引先、地域社会など、みんなに配慮する経営」が重視されてきました。
その結果、利益を内部にため込む傾向が強く、配当金として外部に還元する文化が遅れていたのです。
つまり、アメリカは「株主ファースト」、日本は「みんなバランスよく」。
この考え方の違いが、高配当株の多さにつながっています。
■ 2. 長い増配の歴史を持つ企業が多い
アメリカには「連続増配企業」と呼ばれる、毎年欠かさず配当を増やしている会社がたくさんあります。
このような企業は、「増配を止める=経営の信頼を失う」という意識を持っています。
そのため、業績が少し悪くても、できる限り増配を維持しようと努力します。
アメリカの投資家たちは、こうした企業を「配当王(Dividend King)」や「配当貴族(Dividend Aristocrat)」と呼び、尊敬を込めて長期保有しています。
■ 3. 投資が“生活の一部”になっている
アメリカでは、国民の半数以上が株式を保有しています。
年金や退職金も、株式を通じて運用されており、「投資=将来の生活を守るもの」という考えが一般的です。
一方で、日本は以前と比べて改善はされているものの、「投資=ギャンブル・危険」という考えが根強くあると言われています。
そのため、アメリカの企業も投資家に安定した配当を出すことで信頼を得ようとします。
「長く株を持ってもらうために、しっかり報いる」という循環ができているのです。
また、アメリカでは配当を再投資する「DRIP(Dividend Reinvestment Plan)」という制度も普及しており、
配当金を使わずそのまま株を買い増すことで、雪だるま式に資産を増やす仕組みが整っています。
■ 4. 日本よりも税制がシンプル
アメリカでは、配当金にかかる税金が国によっては優遇されており、投資家が実際に受け取れる金額が多いのも特徴です。
一方、日本は配当に約20%の税金がかかり、NISAなどを使わない限り、手取りが減ってしまいます。
この税制の違いも、アメリカ企業が「配当を出しても投資家が喜ぶ」環境を後押ししているのです。
■ 5. 世界に誇る有名な高配当企業
アメリカの高配当株は、世界中の投資家に人気があります。
たとえば、
- ジョンソン&ジョンソン(JNJ):医薬・日用品の世界ブランド
- P&G(PG):ビオレ・パンパースなどで有名な生活必需品メーカー
- シェブロン(CVX)・エクソンモービル(XOM):エネルギー大手で景気に強い
どの企業も長期的に利益を上げ、株主への還元を欠かしていません。
これらの企業は、株価の値上がりを狙うよりも、配当をコツコツ受け取りながら資産を育てるスタイルに向いています。
「老後に安心できる収入源をつくりたい」という人にとって、まさに理想的な存在です。
■ まとめ
アメリカに高配当株が多い理由は、
1️⃣ 株主を最優先に考える経営文化
2️⃣ 長年の増配実績を重視する企業姿勢
3️⃣ 投資が生活に根付いた国民性
4️⃣ 税制や制度の後押し
この4つが大きな柱になっています。
アメリカ株は値動きも大きいですが、配当を中心に考えれば“世界最強の安定投資”の一つ。
日本株で基礎を学んだら、次のステップとしてアメリカの高配当株にも目を向けてみましょう。
「お金が働いてくれる仕組み」を、きっともっと身近に感じられるはずです。
次回は「コカ・コーラ」がどれくらい配当金があるのかを詳しく見ていきます!!

