高配当株を狙うなら、「配当を出している会社」という前提があります。しかし、配当を出していた会社でも状況が変われば「無配(配当ゼロ)」になったり大幅減配になったりするリスクがあります。今回は2024年に話題になったあおぞら銀行のケースを取り上げて、なぜ無配・減配が起きるのかを学びましょう。
■ あおぞら銀行の事例
あおぞら銀行は、かつて高配当をうたっていた会社です。例えば2023年3月期の年間配当は154円でした。つまり、100株持っていたら15,400円もらえることになります(税引き前)。
ところが、2024年3月期決算で大きな赤字を出し、下期の配当を「0円」とする発表がなされました。
株主総会でも厳しい批判が出たという報道があります。
■ なぜ配当が止まったのか?原因を見てみる
あおぞら銀行の配当金がなぜ大幅に下げられたのかを簡単に解説していきます。
① 米国不動産融資および債券有価証券での損失
あおぞら銀行は、米国の商業用不動産(オフィスビル向けノンリコースローン)への融資や、欧米債券などの有価証券を保有していました。
しかし、米国のオフィス需要が急減、物件価格が下落し、貸出先の評価損・引当金が増えたため、収益に大きな負荷がかかったのです。さらに、欧米の金利上昇で保有債券の価格が下がり、有価証券評価損・売却損が膨らんだことで、銀行は巨額の損失を計上しました。
■ ② 赤字転落と配当維持の限界
結果として、2024年3月期の決算で 最終赤字に転落しました。
赤字で利益が出ていない中で「これまでの高配当をそのまま維持する」ことは、銀行としての財務健全性・ステークホルダーとの信頼を考えると難しい判断となりました。実際、株主総会では「年4回配当」「配当性向50%」といった期待値が裏切られたという厳しい声も上がりました。
■ 投資初心者にとっての教訓
- 「高配当=安全・安心」という思い込みは危険です。配当が出ていても将来も出る保証はありません。
- 業績・利益・資本構成をチェックしましょう。利益が減っていたり赤字が続いたりしている会社では、配当が減る可能性があります。
- 投資対象の会社が「なぜ配当を出しているか」「利益の源泉は何か」を理解することが重要です。
- 万が一減配・無配になった場合、株価下落のリスクもあります。実際、あおぞら銀行では発表後に株価が大きく下がりました。
■ まとめ
あおぞら銀行のケースは、「高配当をうたっていても、業績が悪くなれば配当が止まる/減る」という現実を教えてくれます。
高配当株を選ぶとき、「昨年配当が出た」「利回りが高い」だけで安心せず、「利益は安定しているか?」「将来も配当を継続できる力があるか?」という視点を持つことが、30〜40代で老後を考える初心者には特に大切です。


